ECMAScriptとは?JavaScriptについての基礎知識
ECMAScriptは、JavaScriptの標準化された仕様であり、プログラミング言語の基本構文、機能、および動作を定義します。JavaScriptは、Webページのインタラクティブな機能や、サーバーサイドの開発など、多くの場面で利用される言語ですが、ECMAScriptが存在しなかった場合、JavaScriptは標準化されず、ブラウザ間の互換性の問題が発生する可能性があります。本記事では、ECMAScriptの基礎知識について解説します。
ECMAScriptの歴史
ECMAScriptは、1997年に初めて定義されました。それ以来、ECMAScriptのバージョンは、次のように進化してきました。
- ECMAScript 1 (1997年)
- ECMAScript 2 (1998年)
- ECMAScript 3 (1999年)
- ECMAScript 4 (2000年) ※規格案は却下された
- ECMAScript 5 (2009年)
- ECMAScript 6 (2015年)
- ECMAScript 2016 (ES7)
- ECMAScript 2017 (ES8)
- ECMAScript 2018 (ES9)
- ECMAScript 2019 (ES10)
- ECMAScript 2020 (ES11)
- ECMAScript 2021 (ES12)
ECMAScriptは、毎年のように新しいバージョンがリリースされており、現在はES12が最新版となっています。新しいバージョンには、新しい機能が追加されることが多く、最新版を学び、利用することで、開発の生産性が向上します。
ECMAScriptの機能
ECMAScriptには、様々な機能があります。代表的なものには、変数宣言、関数定義、オブジェクト指向プログラミングなどがあります。ここでは、代表的な機能について解説します。
変数宣言
変数は、プログラム内で一時的に値を保存するために使用されます。ECMAScriptには、var、let、constという3つの変数宣言があります。
varは、古いバージョンのECMAScriptで使用されていた変数宣言の方法で、現在ではletやconstに置き換えられつつあります。
letは、ブロックスコープを持つ変数宣言で、変数の再宣言ができません。
constは、letと同様にブロックスコープを持ちますが、再代入ができません。このため、一度値を代入したら変更することができない定数を定義する際に使用されます。
関数定義
関数は、特定の処理を実行するために複数のステートメントをまとめたものです。関数定義には、functionキーワードを使用します。
例えば、次のような関数を定義することができます。
function add(x, y) {
return x + y;
}
この関数は、引数xとyを受け取り、それらを加算した結果を返します。関数は、コードの再利用性を高めるために使用されます。
オブジェクト指向プログラミング
オブジェクト指向プログラミングは、プログラム内でオブジェクトと呼ばれる要素を定義し、それらを操作することによってプログラムを構築するプログラミングの手法です。ECMAScriptには、オブジェクトを定義するための構文があります。
例えば、次のようなオブジェクトを定義することができます。
let myObject = {
name: "John",
age: 30,
city: "Tokyo"
};
このオブジェクトは、3つのプロパティを持ち、それぞれのプロパティには値が設定されています。プロパティには、文字列、数値、真偽値、関数など、様々な型の値を設定することができます。
ECMAScriptの実装
ECMAScriptは、ブラウザやNode.jsなどのランタイム環境で実装されます。ブラウザでは、各ブラウザベンダーが独自のJavaScriptエンジンを開発しており、それぞれのエンジンがECMAScriptを実装しています。代表的なJavaScriptエンジンには、V8エンジン(Google ChromeやNode.jsで利用)、SpiderMonkey(Firefoxで利用)、Chakra(Microsoft Edgeで利用)などがあります。
また、ECMAScriptを利用するためには、JavaScriptファイルをHTMLファイルに埋め込むか、外部ファイルとして読み込む必要があります。HTMLファイル内でJavaScriptファイルを埋め込む場合は、<script>タグを使用します。
まとめ
ECMAScriptは、JavaScriptの標準化された仕様であり、プログラミング言語の基本構文、機能、およびオブジェクトの定義を定めています。ECMAScriptは、Web開発において広く使用されており、現在はECMAScript 2021が最新の仕様となっています。
ECMAScriptの基本構文は、C言語をベースとしているため、C言語やJavaといった言語を学んでいる人にとっては理解しやすいものとなっています。また、ECMAScriptには、オブジェクトや配列といったデータ構造や、関数といった機能が備わっているため、柔軟なプログラミングが可能です。
ECMAScriptには、var、let、constという3つの変数宣言があり、それぞれ特徴があります。また、ECMAScriptには、クラスやモジュールといった機能も追加され、よりオブジェクト指向的なプログラミングが可能になりました。
最近では、TypeScriptというECMAScriptの上に構築された静的型付け言語が注目を集めており、より安全性の高いプログラミングが可能になっています。
ECMAScriptは、Web開発において非常に重要な役割を担っており、現代のWebアプリケーションの開発には欠かせない存在となっています。